歯科治療において、補綴物の材料選びはとても重要です。
その中でもジルコニアは、近年非常に注目されている素材です。
この記事では、ジルコニアの特徴や硬さについて詳しく解説し、歯科治療におけるメリットをご紹介します。
目次
■ジルコニアとは?
◎ジルコニアの基本的な特性
ジルコニアは人工ダイヤモンドとも言われるほど硬い素材です。
見た目の美しさや優れた強度という特性から、歯科の補綴物の材料として広く使用されています。
◎ジルコニアの硬さについて
ジルコニアはモース硬度(宝石など鉱物の硬さに対する基準で1~10の10段階に分けられる)で8~8.5に相当し、非常に硬い素材です。
これは天然のダイヤモンド(モース硬度10)に次ぐレベルであり、従来の歯科用セラミックよりも非常に硬いのが特徴です。
この硬さが、ジルコニアを補綴物として選ばれるひとつの理由です。
◎歯科でのジルコニアの用途
ジルコニアは補綴物の材料として、クラウン、ブリッジ、インプラントなどに使用されます。
その高い耐久性から、前歯の審美的な治療だけでなく、奥歯の強度が必要な部位でも利用されています。
また、セラミックの骨格部分にジルコニアを使い、強度と透明感を両立させた補綴物なども作製が可能です。
■ジルコニアのメリット
◎審美性
ジルコニアは自然な透明感があり、天然歯に近い色調を再現することが可能です。
金属を使用した補綴物は目立ってしまい、不自然に見えることがありますが、ジルコニアは隣接する歯との調和が取りやすいです。
セラミックに比べて若干透明感は劣りますが、前歯など審美性が求められる部位でも問題なく選ばれる方も多いです。
◎高い耐久性と強度
ジルコニアは、歯科用材料の中でも特に硬く、強い力がかかる奥歯にも対応できる優れた耐久性を持っています。
咀嚼や歯ぎしりなど、日常的に歯にかかる負荷に耐えられるため、長期間使用しても変形や破損が起きにくいです。
◎生体適合性が高い
ジルコニアは金属を含まないため、アレルギーの心配がほとんどありません。
金属アレルギーがある方や、敏感な体質の方にとって大きなメリットとなります。
◎歯垢(プラーク)が付きにくい
ジルコニアの表面は非常に滑らかなため、汚れや歯垢(プラーク)が付着しにくい性質があります。
これにより、口腔内の清潔を保ちやすく、むし歯や歯周病のリスクを減らすことができます。
■ジルコニアを使用する際の注意点
◎他の歯や素材へのダメージ
ジルコニアは非常に硬い素材であるため、対合する天然歯や被せ物などに摩耗を引き起こす可能性があります。
特に歯ぎしりや食いしばりが強い方は、歯科医師と相談し、対策を講じましょう。
◎加工には高度な技術が必要
ジルコニアはその硬さゆえに、患者さん一人ひとりに合わせた作製には高い技術が求められるだけでなく、歯科医院での微調整が難しいことがあります。
当院には、経験豊富な歯科技工士が在籍しています。患者さんのお口にしっかりとフィットし、長く使い続けられるな補綴物を提供できるように努めております。
■ジルコニアが向いている方
◎ジルコニアのメリットをしっかり受けられる方とは
審美性を重視したい場合や、金属アレルギーがある場合、ジルコニアがとても良い選択肢となります。
また、咬合力が強く奥歯の耐久性が必要となる方にも適しています。
さらに長期的な使用を考え、見た目と機能の両方を重視する方にとっても良い素材です。
【とても硬い素材、そのメリットを生かして】
ジルコニアは硬さ、審美性、生体適合性の高さから、補綴物として多くのメリットを持つ素材です。
その硬さはモース硬度8~8.5と非常に高く、負荷のかかる奥歯への使用にもよく選択される優れた性能を持っています。
また、見た目が良く、金属アレルギーの心配がない点も大きなメリットです。
ただし、その硬さゆえに対合歯に影響があるケースも見られるため、事前に歯科医師と相談し、しっかりとした治療計画を立てることが大切です。